実質賃金8か月連続プラス・所定外労働は2.2%増|賃上げの説明と残業の管理を、同じ人が抱えていないか

マネジメントニュース

厚生労働省が10月7日に公表した毎月勤労統計調査(2026年8月分速報)で、物価の影響を除いた実質賃金が前年同月比1.5%増となり、プラスはこれで8か月続きました。ただ、同じ資料をもう一枚めくると、残業にあたる所定外労働時間が2.2%増えたという数字も並んでいます。この二つを部下に説明する立場に置かれるのは、たいてい課長・部長クラスです。

ニュースの概要

  • 現金給与総額は31万1364円で、前年同月比3.8%増(事業所規模5人以上)
  • 実質賃金は1.5%増。8か月連続のプラスとなり、報道ではこの連続記録の長さが10年ぶりと伝えられています
  • 所定内給与も3.8%増で、伸びの主役は残業代ではなく基本給側
  • 総実労働時間は129.8時間(0.5%増)、うち所定外労働時間は9.2時間(2.2%増)
  • 常用雇用は0.8%増

管理職にとってのポイント

「実質賃金がプラス」というニュースは、現場に降りてくると形が変わります。部下の口から出るのは、たいてい「で、うちはどうなんですか」という問いです。これは全国の平均値であって、自分の会社の話でも、ある部署の話でもありません。平均と自社をつなぐ説明は本来人事や経営の仕事ですが、最初に聞かれるのは席が近い管理職のほうでしょう。

もう一つ気になるのが、残業時間が増えている点です。賃金の伸びは基本給側が主役なので、残業で稼いで実質プラスになったという単純な話ではありません。それでも、働く時間そのものが前年より伸びているのは確かです。人が足りないまま仕事量が戻ってきたときに、しわ寄せがどこへ行くかを考えると、見当はつきます。

そして、労働基準法上の管理監督者に当たる場合、増えた時間は割増賃金の対象になりません。部下の残業は数字で見えるのに、自分がその穴を埋めた分は、賃金にも残業時間の統計にも表れにくい。この非対称が、賃上げの好調なニュースほど管理職に実感を伴わない理由の一つになっています。

えんのした編集部の視点

この手のニュースが出たら、自分の労働時間を月単位で記録に残しておくことをおすすめします。記録は交渉のためというより、自分の状態を自分で把握するためのものです。数字がないと、疲れは気合いの不足として処理されてしまいます。

部下から賃金について聞かれたときは、答えを全部引き受けなくてかまいません。「会社の方針は人事に確認して、わかったら共有する」と返すのは、逃げではなく役割分担です。平均の数字を説明する責任まで一人で背負い込むと、本来の仕事が後ろに押し出されていきます。

賃金が上がる局面では、たいてい仕事量も戻ってきますから、増えた分を誰が吸収しているのかを一度言葉にしておきたいところです。それを引き受けているのが自分だけなら、人員配置の話として上に投げる材料になります。

出典

人気記事