部下から退職の相談を受けたとき、「自分のマネジメントが悪かったのでは」と考え込んでしまう管理職は少なくありません。厚生労働省が9月25日に公表した「令和7年転職者実態調査」は、転職した人が前の職場を離れた理由を数字で示しています。その中身は、管理職が自分を責めすぎないための材料にもなりそうです。
ニュースの概要
調査は2025年10月1日時点で、約1万7000事業所と約1万3000人の転職者を対象に行われました。5年ぶりの実施です。転職者がいる事業所は38.2%で、前回の2020年から5.2ポイント増えました。今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所は63.6%にのぼります。
転職者の81.3%は自己都合による離職でした。その理由(複数回答)の上位は、「賃金が低かった」25.5%、「会社の将来に不安を感じた」25.2%、「満足のいく仕事内容でなかった」24.7%、「賃金以外の労働条件がよくなかった」23.4%と続きます。「人間関係がうまくいかなかった」は18.9%でした。
管理職にとってのポイント
- 離職理由の上位を占める賃金や会社の将来性は、現場の管理職ひとりでは動かしにくいものです。退職のすべてを自分の関わり方の結果として受け止める必要はありません。
- 一方で、仕事内容への不満や労働条件は、日々の仕事の割り振りや業務量の調整で、管理職が関われる部分もあります。
- 転職者を受け入れる職場も増えています。中途で入ったメンバーが力を出せるよう、仕事の進め方や相談先を早めに共有することも、管理職の大切な役割になりつつあります。
えんのした編集部の視点
部下の退職は、管理職にとって静かにこたえる出来事です。引き継ぎや採用の負担が増えるうえに、「引き留められなかった」という気持ちが残りやすいからです。
けれど今回の数字を見ると、人が職場を離れる理由の多くは、賃金や会社の先行きといった、組織全体で向き合うべきものでした。管理職にできるのは、変えられる部分と変えられない部分を分けて考えることだと思います。仕事内容や業務量のように手の届くことには向き合い、賃金や制度のように届かないことは、人事や上の層に現場の声として伝える。その役割分担ができていれば、退職を自分ひとりの失敗として抱え込まずに済みます。
辞めていく人を見送るのも、新しく入る人を迎えるのも、管理職の仕事の一部です。どちらの場面でも、自分を責めることより、次に何を整えられるかに目を向けていきたいところです。

