管理職の負荷や「なりたがらない問題」はよく語られますが、「管理職を降りたあと」がどうなるかは、あまり共有されません。パーソル総合研究所が2026年9月25日に公表した調査は、その語られにくい部分をデータで示しています。いま現役の管理職にとっても、自分の数年先を考える手がかりになる内容です。
ニュースの概要
調査は、ライン管理職を退任したあとも同じ会社で働き続けている50〜64歳の元管理職を対象にしたものです。主な結果は次のとおりです。
- 退任の理由が「想定外」だった人が35.3%、退任時期が想定より早かった人が25.1%
- 退任について会社からの説明が「なかった」または「1か月以内だった」人が39.1%
- 退任後の役割は「プレーヤー」が47.2%で最多。約4人に1人(26.7%)は未経験の職種へ移っている
- 退任前に「退任後の仕事内容」をよく理解できていた人は、退任後の適応が高い層が50.8%。理解が低かった人では21.4%にとどまる
管理職にとってのポイント
読み取れるのは、退任そのものより「事前に何を知らされていたか」で、その後の働きやすさが大きく変わるということです。しかも効き目が大きかったのは覚悟や心構えではなく、「退任後にどんな仕事をするのか」という具体的な情報でした。つまり、あらかじめ聞いて確かめられる種類のものです。
一方で、役職定年制のように退任の時期が制度で決まっている会社は多数派ではありません。人事院の調査では、役職定年制がある企業は16.7%です。制度で線が引かれていない分、退任は組織改編や上司の判断といった個別の事情で決まりやすく、本人への予告が短くなりがちだと考えられます。
えんのした編集部の視点
いま疲れている管理職の方に「その先も大変ですよ」と言いたいわけではありません。むしろこの数字は、管理職という役割が一生続くものではないこと、そしていつかは荷を下ろす前提で組み立ててよい仕事だということを示しています。
できることは、そう大きな話ではありません。上司との面談や評価面談の場で、「このポジションはいつまでという想定があるか」「外れたあとはどういう役割が考えられるか」を一度聞いてみる。答えが出なくても、聞いたという事実が次の会話につながります。自分ひとりで先を読もうとするほど不安は大きくなりますが、情報を持っているのは多くの場合、自分ではなく会社の側です。抱え込まずに、確かめるところから始めてみてください。

