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責任は増えた。残業代はなくなった。手取りは思ったほど変わっていない。
管理職になってから「これ、メリットがあるのだろうか」と考えた人は少なくないはずです。ただ、この問いは感覚で答えると堂々巡りになってしまいます。
この記事では、管理職にメリットがないと感じる理由と、自分のケースで給料面での損得を計算する手順をまとめました。改めて自分の状況を振り返り、メリットがあるのかないかの判断材料としてご活用ください。
管理職にメリットがないと感じる3つの理由
管理職にメリットがない、と感じる理由には、主に下記の3つが挙げられます。
- 残業代がなくなる
- 責任と労働時間に上限がない
- 手取りの増え方が実感しにくい
1. 残業代がなくなる
管理職にメリットがないと感じる最大の要因は、残業代がなくなることでしょう。労働基準法41条により、管理監督者には労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されません。時間外労働や休日労働の割増賃金は発生しなくなります。
昇進前に月40時間の残業代を受け取っていた人の場合、その分が丸ごと消えます。増えた基本給と、消えた残業代を差し引きしないと、実際の増減は分かりません。
ただし、なくなるのは時間外・休日の割増だけです。厚生労働省の労働局が公開している労働条件ハンドブックでは、管理監督者にも引き続き適用されるものとして、深夜労働の割増賃金と年次有給休暇が挙げられています。
22時以降に働いた分の割増は、管理職でも支払われる必要があります。給与明細で確認してみてください。
2. 責任と労働時間に上限がない
時間の規定が外れるということは、歯止めがかからないということでもあります。
厚生労働省が労働政策審議会に提出した管理監督者の労働時間データでは、1か月の時間外・休日労働が80時間を超えた月があった人の割合が示されています。管理的職業従事者は4.1%で、全職種平均の1.5%に対して約2.7倍でした。
金額が増えても、時間あたりで見ると下がっている、という構造が「割に合わない」という感覚の正体です。
あわせて読みたいマネージャーが激務になる理由|上限規制の外側と、時間を減らす手順労働時間の上限が外れる仕組みと、時間を減らす手順はこちら。3. 手取りの増え方が実感しにくい
額面が上がっても、所得税・住民税・社会保険料も連動して増えます。児童手当など、所得制限のある制度に影響が出る場合もあります。
額面の差と手取りの差は一致しません。ここを確認せずに「思ったより増えていない」と感じている人は多いはずです。
管理職は本当にメリットがない?自分のケースで計算する手順
給料面で見て管理職にメリットがないと感じている場合は、感覚で判断せず、本当に損をしているのか一度計算してみてください。4つのステップで済みます。
- 昇進前の年収を確認します。残業代を含めた総額です。源泉徴収票が手元にあれば早く終わります。
- 現在の年収について、同じく総額で確認してください。
- その差を、増えた労働時間で割ります。昇進前と現在で、月の労働時間がどれだけ変わったかを概算で構いません。
- 時間あたりの金額を比べます。年収が上がっていても、時間あたりで下がっているケースは珍しくありません。
この数字が出れば、給料面でメリットがあるかどうかは感覚ではなく事実として扱えます。人事や上司に相談するときの材料にもなるでしょう。
あわせて読みたいマネージャーを続けるメリットはある?継続すべきか迷ったら在任中で続けるか迷っているなら、続けるメリット5つと判断基準をこちらで。管理職にメリットがないと判断したときの選択肢
計算した結果、やはりメリットが無いと判断したなら、選択肢は3つあります。
- 待遇の見直しを求めること。時間あたりの数字を示して、手当や体制の話として持ち込みます。感覚ではなく計算結果を出すと、話が具体的になります。
- 役割を変えること。管理職を降りる制度や専門職コースを持つ会社は少なくありません。制度の有無は人事に確認できます。
- 環境を変えることです。同じ課長職でも、手当の額も、プレイング比率も、会社によってかなり違います。転職エージェントに現状を話すと、他社の条件が分かります。
もし環境を変えたい場合には、30・40代管理職・専門職のグローバルキャリアを拓く転職エージェント【Samurai Job】
のように管理職層を扱うサービスもあり、動くつもりがなくても、自分の待遇が標準的かを測る材料にはなります。
なお、割増賃金が正しく支払われていない疑いがある場合や、管理監督者に当たるかどうかに疑問がある場合は、各都道府県の労働局が設置する総合労働相談コーナーが無料で相談を受け付けています。
あわせて読みたい「管理職を辞めたい」と思ったら|役職を降りる・会社を辞める、どちらを選ぶかの決め方辞めたいのが役職か会社かを切り分ける方法はこちら。管理職のメリットを考えるときに、やらないほうがいいこと
- 額面だけを見て、手取りと時間あたりを計算しない
- 昇進前の自分とだけ比べる
- 「みんなそうだから」で検討を止める
- 不満を口にするだけで、数字を出さない
3つ目は特に注意したい項目です。周囲の管理職も同じ条件とは限りません。手当の額は等級や会社の制度によって変わります。比べるなら、社内の噂ではなく統計や求人条件を見てください。
まとめ
管理職にメリットがないと感じるのは、残業代が消えることや、労働時間に歯止めがないこと、手取りの増え方が見えにくいことの3つが重なるためです。本当にメリットがないのかを判断するなら、まずは年収の差を増えた労働時間で割ってみてください。時間あたりの数字が出れば、感覚の議論から抜けられます。
そのうえで、待遇を交渉するか、役割を変えるか、環境を変えるか。どれを選ぶにしても、材料は自分で用意できます。

