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「マネージャーの仕事って楽しいものなの?」「ただしんどいだけじゃないの?」
そんな風に思っている方も多いかもしれません。
楽しさを言葉にできないのは、「楽しい」と感じていないからとは限りません。担当者時代の「自分が成果を出した」という手応えと、マネージャーの手応えは、そもそも形が違います。それを「楽しい」と感じられるか、ただ「苦しい」と思うだけになってしまうかは捉え方によっても変わります。
この記事では、マネージャーの仕事の楽しさがどこに宿るのかを3つに分けて整理し、いま楽しさを感じられない場合に何が起きているのかまで扱います。
マネージャーの仕事は、何が楽しいと言われているのか
まず、他の人が何を楽しいと感じているのかを見てみましょう。
ALL DIFFERENTの管理職意識調査(2025年5月〜7月、管理職向け研修の受講者531名)では、「管理職になって良かったこと」の上位が次のように並びました。
- 意思決定に関与できるようになった:51.5%
- 仕事の裁量が増えた:48.2%
- 収入が増えた:46.8%
- 部下の成長や成功を喜べるようになった:42.0%
- 経営視点が養われた:41.2%
注目したいのは順番です。収入が3番目で、1位と2位は「決められること」と「裁量」でした。研修受講者が対象なので前向きな層に偏っている可能性はありますが、金銭ではなく役割の広がりに手応えを感じている人が多い、という傾向は読み取れます。
この結果を整理すると、マネージャーの楽しさは3つに集約できます。
- 届く範囲が広がること
- 人の変化に立ち会えること
- 仕事のやり方そのものを設計できること
その前に、いま楽しさを感じられていない場合の話を先に片づけておきます。
マネージャーの楽しさ① 自分の手が届く範囲が広がる
1つ目は、自身で扱える範囲が変わることです。
マネージャーになる前は責任の範囲が比較的狭く、扱える仕事も自分の手元にある範囲内になりがちです。マネージャーになると、その範囲が大きく広がっていきます。自分一人の力ではなく、チームを動かして成功に繋げていくのが仕事となるため、業務の領域が大きく広がります。
分かりやすいのは、自分ひとりでは受けきれなかった規模の案件を、チームとして完遂したときです。設計したのは自分で、実行したのはメンバー。自分の名前が前に出ないかわりに、自分ひとりでは届かない大きさのものが動く。この感覚は、担当者のポジションでは味わえません。
もうひとつが、意思決定です。管理職意識調査で1位だった項目にあたります。「この方針でいく」「この案件は受けない」と決められる立場は、それ自体が仕事の面白さになります。決めた結果の責任も一緒に来ますが、決められないまま結果だけ問われる状態より、はるかに納得感があるはずです。
自分の裁量がどこまであるのかを、一度書き出してみてください。人員配置、予算、業務の進め方、取引先との条件。思っているより決められる範囲は広いことが多く、使っていないだけというケースもあります。
あわせて読みたいマネージャーを続けるメリットはある?継続すべきか迷ったら続けることで得られるメリットを5つにまとめています。マネージャーの楽しさ② 人が変わる過程に立ち会える
2つ目は、育成に関わるものです。
「管理職になって良かったこと」の調査でも、42.0%が「部下の成長や成功を喜べるようになった」を挙げていました。
これは、きれいごととして語られがちですが、実感としてはもっと具体的です。
半年前は指示がないと動けなかったメンバーが、自分で判断して先に進めている。
以前は言えなかった意見を会議で口にしている。
任せた仕事が、自分がやるより良い形で返ってくる。
人の変化は、自分の成長より分かりやすく見えるという特徴があります。自分の成長は連続して起きるので自覚しにくいのに対し、他人の変化は前後の差として目に入るからです。
ただし、これを楽しさとして受け取るには条件があります。変化を記録しておくことです。
人は良くなった状態にすぐ慣れるので、3か月前にできなかったことを覚えていません。1on1の記録でも、評価面談のメモでもかまいません。「何ができるようになったか」を残しておくと、変化が見える形になります。
マネージャーの楽しさ③ 仕事のやり方そのものを設計できる
3つ目は、仕事の進め方を自分で作り変えられることです。
担当者の立場では、非効率な会議も、二重になった承認ルートも、面倒な報告形式も、与えられた前提でした。マネージャーになると、その前提の一部が自分の管理下に入ります。会議を半分に減らす、報告を週次から隔週に変える、属人化していた業務を分担するなど、自分が不満に思っていたものを実際に直せるということです。
しかも、効果は自分だけに返ってきません。自分が5分短縮した会議は、参加している全員の5分になります。10人参加なら50分です。この掛け算が効くのは、マネージャーのポジションならではの面白さです。
改善のネタは、自分が過去にやりにくいと感じたことの中にあります。担当者時代に「なぜこれをやるのか分からない」と思った業務を思い出し、いまの権限で変えられるかを確認してみてください。変えられないなら、なぜ必要なのかを説明できるようにする。そのどちらかで、仕事の納得度は上がります。
「楽しくない」と感じているマネージャーに起きていること
ここまで紹介したように、マネージャーの仕事の中には楽しさが多くあります。しかし、もしあなた自身がその楽しさを感じられない場合、そこにはいくつか原因があるかもしれません。
マネージャーが「楽しくない」と感じる原因は、単純に仕事量が多いからだけではなく、仕事の手応えや達成感を感じにくくなることが大きいです。
よくある原因は、以下のようなものがあります。
- 自分で手を動かす時間が減る
プレイヤー時代は「作った」「売った」「解決した」と成果が見えやすかったのに、マネージャーになると調整・確認・会議・フォローが中心になります。もともと自分で手を動かすのが好きだった人は、マネージャーの仕事に楽しさを感じられない可能性があります。 - 成果が自分の成果として感じにくい
チームが成果を出しても、実際に動いたのはメンバーです。そのため「自分は何を成し遂げたんだろう」と感じやすくなります。 - 問題対応ばかりになる
順調な案件はあまり上がってこず、相談されるのはトラブル、遅延、人間関係、離職など。「毎日問題を処理しているだけ」という感覚になりがちです。 - 人を思い通りに動かせない
自分ならすぐできることでも、メンバーによって考え方やスピードは違います。教えても伝わらない、任せても進まない、といったストレスが積み重なります。成長できた時の感動はひとしおですが、結果が出ない間は「楽しい」よりも「苦しい」が先に来てしまうでしょう。 - 褒められる機会が減る
プレイヤーは成果を出せば評価されやすい一方、マネージャーの仕事は「問題が起きない状態を作ること」も多く、うまくやっていても目立ちません。自分自身の動きが直接的に評価に結び付きづらいのも楽しさを感じられない要因の一つとなるでしょう。 - 自分の時間がなくなる
メンバーからの相談、会議、上司への報告などに予定を埋められ、「今日は自分がやりたかった仕事を何もできなかった」と感じることがあります。 - 正解がない
人材育成、評価、配置、モチベーション管理などは、同じ対応をしても人によって結果が違います。プレイヤー業務よりも「これで正しかったのか」が分かりにくい仕事です。だからこそ、楽しさを見出すのが難しいかもしれません。 - 孤独になりやすい
部下には言えないことが増え、上司にも弱音を吐きづらくなります。プレイヤー時代のように同僚と気軽に愚痴を言えなくなるケースもあります。
本当は頑張りたいのに、楽しさを感じられなくて疲弊している。自分は管理職に向いていないのかもしれない。
そんな風に悩んでいるなら、一度第三者に頼ってみるのも一つです。自分の状態を言葉にしておきたいなら、国内最大級のオンラインカウンセリングサービス【Kimochi】
のようなオンラインのカウンセリングを使う方法もあります。
マネージャーの仕事を楽しいと感じるために、今日からできること
最後に、マネージャーの仕事を楽しむために今日からできることを紹介します。
まずは、自分の裁量の棚卸しです。決められること、決められないこと、確認すれば決められることの3つに分けて書き出してみましょう。2つ目に入る項目が多いなら、それは適性の問題ではなく権限設計の問題です。上司に相談する具体的な材料になります。
次に、マネジメントに使う時間を先に確保することです。プレイング業務が空いた時間に入ってくる限り、マネジメントの時間は残りません。週の予定に先に置いてから、残りで実務を組んでください。
そして、変化の記録を始めることです。メンバーごとに、3か月前にできなかったことと、いまできていることを1行ずつ。四半期に一度見返すだけで、育成の手応えが数字ではない形で残ります。
そのうえで、権限も裁量も動かせない環境だと分かった場合は、環境側の問題として考える段階かもしれません。リクルートマネジメントソリューションズの管理職のあり方に関する実態調査では、組織からの支援を感じている管理職の継続意向が65.2%だったのに対し、感じていない層は41.6%でした。同じ仕事でも、支援の有無で続けたい気持ちは20ポイント以上変わります。
同じ役職名でも、決裁権の範囲は会社によってかなり違います。今の場所で自分の能力をうまく活かし切れていない、と感じるなら、環境を変えてみるのも一つの選択肢です。
まとめ
マネージャーの楽しさは、自分が成果を出す手応えとは形が違います。届く範囲が広がること、人の変化に立ち会えること、仕事のやり方を設計できること。この3つが中心です。
調査でも、「管理職になって良かったこと」の1位は意思決定への関与、2位は裁量の増加でした。収入はその次です。
いま楽しさを感じられていないなら、決められる範囲が狭い、手応えが返る周期が変わった、マネジメントの時間がない、単に疲れている。このどれかに当たっていないかを確認してください。
今日できることを1つ選ぶなら、自分の裁量を3つに分けて書き出すところからです。使っていない権限が見つかれば、明日の仕事はそこから変わります。

