管理職が土日も仕事は普通?法律・手当・振替休日と断り方

管理職が土日も仕事は普通?法律・手当・振替休日と断り方

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土曜の朝にメールを開き、日曜の夜には月曜の資料を整える。管理職になってから、週末が週末でなくなったという人は少なくありません。

問題は、それが当たり前なのかどうかが判断できないことです。手当は出ないのが普通なのか。振替や代休は使えるのか。そもそも断ってよいのか。

この記事では、まず統計で実態を確認し、そのうえで労働基準法上の扱い、手当が出るケース、振替休日と代休の使い分け、断り方までを順にまとめました。

管理職で土日も仕事をしているのは普通のこと?

マイナビの「つながらない権利」をめぐる個人の本音と企業の実態調査によると、勤務時間外に業務連絡がくることがある人の割合は全体で70.0%でした。役職別では部長職90.3%、課長職89.8%、係長・主任85.7%に対し、非管理職は55.5%です。

管理職はおよそ9割が対象になります。連絡がくる以上、休日も意識が仕事から離れにくいはずです。

労働時間そのものにも差があります。厚生労働省が労働政策審議会に提出した管理監督者の労働時間データでは、1か月の時間外・休日労働が80時間を超えた月があった人の割合は、管理的職業従事者が4.1%、全職種平均が1.5%でした。約2.7倍です。

一方、制度の側は逆を向いています。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査では、何らかの週休2日制を採用している企業は92.6%、完全週休2日制は65.5%でした。年次有給休暇の取得率は66.9%です。

制度としては週休2日が9割を超えているのに、管理職の9割には休日も連絡が届く。この差が、土日も仕事という状態の正体です。珍しいことではありませんが、制度上の前提とはずれています。

管理職の土日出勤は、法律上どう扱われるのか

ここが最も誤解の多い部分です。順を追って整理します。

まず原則として、労働基準法35条は、使用者に毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上の休日を与えることを義務づけています。この法定休日に労働させた場合、同法37条により3割5分以上の割増賃金が必要です。

ただし、労働基準法41条2号に定める管理監督者に当たる場合、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されません。つまり、休日労働という概念そのものが労基法上は成立せず、休日の割増賃金も発生しないことになります。

ここで重要なのが、役職名と管理監督者は別だという点です。厚生労働省の労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のためにでは、管理監督者に当たるかどうかを次の3つの要素で判断するとしています。

  • 職務内容・責任と権限:経営者と一体的な立場にあり、労働時間等の規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること。採用、解雇、人事考課、労働時間の管理などに実質的な権限があること
  • 勤務態様:時を選ばず経営上の判断や対応が要請され、労務管理においても一般労働者と異なる立場にあること。遅刻・早退による減給制裁がある場合は否定的要素
  • 待遇:定期給与、賞与その他の待遇において、一般労働者と比較して相応の待遇がなされていること

課長という肩書きがあっても、この3つを満たさなければ管理監督者ではありません。その場合、土日の労働には割増賃金が発生します。

あわせて読みたいマネージャーが激務になる理由|上限規制の外側と、時間を減らす手順管理監督者の労働時間の扱いと、会社に残る義務はこちら。

管理職でも土日の仕事に手当が出る、3つのケース

「管理職だから手当はない」は、常に正しいわけではありません。手当が出るケースは3つあります。

1. そもそも管理監督者に当たらない場合

前章の3要素を満たさない、いわゆる名ばかり管理職に該当する場合です。この場合は労働時間の規定が適用されるため、法定休日労働には3割5分以上、法定外休日の時間外労働には2割5分以上の割増賃金が必要になります。

判断の目安として、厚生労働省の同資料は、時間単価が最低賃金額に満たない場合を管理監督者性を否定する「極めて重要な要素」としています。自分の年収を年間総労働時間で割った金額を、一度確認してみてください。

2. 深夜(22時〜翌5時)に働いた場合

管理監督者であっても、深夜業の割増賃金は支払う必要があります。同資料にも明記されている内容です。年次有給休暇についても、一般労働者と同様に付与する扱いです。

土日に深夜まで作業した分について割増が出ていない場合は、給与明細と勤怠記録を確認する価値があります。

3. 就業規則や労働協約で休日手当を定めている場合

法律上の義務がなくても、会社が独自に管理職向けの休日出勤手当や役職手当の加算を設けていることがあります。就業規則、賃金規程、管理職就業規則のいずれかに記載があるかを確認してください。

なお、待遇が職責に見合っているかを外から測る材料もあります。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、所定内給与額(男女計)は部長級635.8千円、課長級529.2千円、係長級399.2千円、非役職者310.5千円でした。土日の稼働を含めた実労働時間で割り直すと、係長級と逆転しているケースも出てくるでしょう。同じ役職でも手当の設計は会社ごとに違うため、30・40代管理職・専門職のグローバルキャリアを拓く転職エージェント【Samurai Job】 のように管理職層を扱うエージェントに条件を聞くと、自社の水準が標準的かどうかを確かめられます。

管理職の土日出勤で、振替休日と代休は使えるのか

使えます。ただし、2つは別物です。厚生労働省のFAQ「振替休日と代休の違いは何か」の説明が基準になります。

振替休日は、あらかじめ休日と定められていた日を労働日に変更し、別の労働日を休日とするものです。この場合、もともとの休日に労働させた日は休日労働とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。

代休は、休日労働が行われた後に、その代償として別の労働日を休みにするものです。前もって休日を振り替えたことにはならないため、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

つまり、順番だけが違うように見えて、割増賃金の扱いが正反対になります。

管理監督者の場合、労基法上の休日の規定が適用されないため、この割増の議論そのものは生じません。ただし、就業規則上の所定休日として振替や代休を運用している会社は多くあります。制度として存在する以上、使えるかどうかは就業規則を見れば分かります。

実務上のポイントは2つです。ひとつは、振替を使うなら土日に働く前に振替先の日を決めること。事後では代休扱いになります。もうひとつは、代休を取得期限つきで運用している会社が多いことです。期限を過ぎると消滅する規程もあるため、取得予定日を先に押さえてください。

年次有給休暇とも混同しないでください。令和7年就労条件総合調査では、年次有給休暇の平均付与日数18.1日に対し、平均取得日数は12.1日、取得率は66.9%でした。振替や代休を年休で埋めている場合、本来取れるはずの休みを自分で減らしていることになります。

あわせて読みたい「管理職だから休めない」は本当か?休めない5つの理由と休むための具体策休めない理由と、休むための具体策はこちら。

管理職は、土日の仕事を断ることができるのか

結論としては、断る余地はあります。根拠は、管理監督者の定義そのものです。

厚生労働省の資料では、管理監督者の勤務態様について、労働時間に裁量がなく営業時間に拘束されている場合は管理監督者性を否定する要素になると整理されています。管理監督者は、本来は出退勤の自由が認められている立場です。土日に出るかどうかを自分で決められないのであれば、そもそも管理監督者の要件を満たしていない疑いが出てきます。

とはいえ、実務では「断る/断らない」の二択にしないほうが進みます。現実的な方法は3つです。

ひとつめは、緊急の定義をチーム内で先に決めることです。前述のマイナビ「つながらない権利」調査では、勤務時間外の業務連絡を拒否したいと答えた人が64.3%いた一方、企業側は41.8%がガイドライン策定に未着手でした。会社の制度を待つ必要はありません。「何が緊急で、緊急でない場合はどの手段で連絡するか」を決めるだけで、土日の稼働は減らせます。

ふたつめは、事前の振替です。土日の対応が事前に分かっている案件は、振替休日として先に別の日を休みに指定しておきます。

みっつめは、持ち回りにすることです。自分ひとりで受けている状態を、副担当や当番制に切り替えられないかを検討してください。属人化している限り、断る選択肢は生まれません。

管理職の土日の仕事が常態化しているときの対処

ここまでの手を打っても変わらない場合は、記録と相談に移ります。

まず知っておきたいのが、労働時間の把握は会社の義務だという点です。厚生労働省の働き方改革関連法解説(労働安全衛生法関係)では、労働安全衛生法第66条の8の3に基づき、事業者は高度プロフェッショナル制度対象労働者を除くすべての労働者(管理監督者等を含む)の労働時間の状況を、タイムカードなど客観的な方法で把握する義務を負い、その記録を3年間保存しなければならないとされています。

管理監督者だから労働時間を管理しなくてよい、というのは誤りです。会社が把握していない場合、それ自体が是正の対象になります。

また、時間外・休日労働が1か月あたり80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者は、本人の申出により医師の面接指導を受けられます。管理監督者も対象です。面接指導の結果を踏まえ、事業者は就業場所の変更や労働時間の短縮といった措置を検討する義務を負います。口頭の相談と違い、記録が残る点が重要です。

社内で解決しない場合、各都道府県の労働局が設置する総合労働相談コーナーが無料で相談を受け付けています。管理監督者に当たるかどうかや、割増賃金の扱いに疑問がある場合の相談先として適しています。

休日が削られた状態が長く続くと、回復の時間そのものが失われます。気持ちの整理を別の場所でしておきたい場合は、国内最大級のオンラインカウンセリングサービス【Kimochi】 のようなオンラインのカウンセリングも選択肢です。厚生労働省のこころの耳には無料の電話・SNS相談窓口もあるので、まずそちらから試す形で構いません。

あわせて読みたい「管理職はもう無理」と感じたら|3つの段階に分けて、いま何をするかを決める「もう無理」と感じたときの段階の見分け方はこちら。

まとめ

管理職の9割に休日も業務連絡が届く一方、企業の92.6%は何らかの週休2日制を採用しています。土日も仕事という状態は珍しくありませんが、制度上の前提からはずれています。

法律上は、管理監督者に当たる場合は休日の割増賃金が発生しません。ただし、役職名だけで管理監督者になるわけではなく、職務内容と責任・権限、勤務態様、待遇の3要素で判断されます。当たらない場合は、割増賃金の対象です。

深夜労働の割増と年次有給休暇は、管理監督者にも適用されます。振替休日は事前、代休は事後という違いも押さえてください。

断る余地もあります。労働時間に裁量がないこと自体が、管理監督者性を否定する要素だからです。

まず今日できるのは、直近3か月で土日に働いた日を数えることです。日数が出れば、就業規則を確認する話も、上司に相談する話も、そこから具体的に始められます。

出典

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