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朝、出社前に一度ため息をつく。会議が終わるたびに持ち帰る宿題が増える。夜、寝る前に明日の面談のことを考えている。
マネージャーが「きつい」と感じるのは、自分の仕事を進めながら、チームの成果やメンバーの状態にも責任を持つ必要があるからです。仕事量が多いというだけの話ではありません。
マネージャーの業務がきついと感じる理由
マネージャーがきついと感じる主な理由は、責任は増えたのに、仕事を減らす権限や支援が足りないという状態にあるためです。次のような負担が重なりやすくなります。
- 責任に対して、動かせる範囲が限られる:成果を求められても、人員や予算を自分だけでは決められない。
- 板挟みになる:上司の方針と現場の事情が合わず、双方への説明や調整を担う。
- 自分の仕事が終わっても、仕事が終わらない:部下の相談、急な欠員、トラブル対応が割り込む。
- 人によって正解が違う:同じ伝え方でも、相手によって受け止め方や必要な支援が異なる。
- 頑張りが見えにくい:問題を未然に防いだり、チームを支えたりする仕事ほど、成果として表れにくい。
- 判断が積み重なる:誰に何を任せるか、どの案件を落とすか。決めきれずに保留したものが頭に残り続ける。
どれも、本人の能力や気合いで解消できる種類のものではありません。担当者のときは作業量という一本の軸で測れましたが、いまは量を減らしても他の負担が残ります。頑張っても楽にならないのは、そのためです。
あわせて読みたい管理職はなぜ大変?原因と対策|量ではなく領域の数で考える業務領域が増えて大変になる構造はこちら。マネージャーのきつさを、今週のうちに軽くする方法
大きな改革を待たなくても、自分の権限だけで動かせるものが4つあります。効果が出やすいものから並べました。
1. 割り込みの受け口を1か所にまとめる
チャットも口頭も電話も受けている状態だと、作業が細切れになります。「緊急以外はこのチャンネルに投稿してください」「返信は午前と夕方の2回」と決めて、チームに周知してください。
大事なのは、応答しないことではなく、応答するタイミングを自分で決めることです。これだけで1日の途切れ方が変わります。
2. 判断の基準を先に作る
判断が消耗するのは、決めるべきかどうかも含めて毎回考えているからです。「この規模以下は担当者が決める」「この条件なら受けない」と基準を先に決めてしまえば、その都度考える必要がなくなります。
基準を作るのは1回、適用するのは何十回です。1時間かけて作る価値は十分あります。
3. 引き取った仕事を書き出す
「自分がやったほうが早い」で引き取った業務が、気づかないうちに積み上がっていることがあります。1週間分でかまわないので、自分が実際に手を動かした作業を書き出してください。
移管できるものが見つかるだけでなく、上司に体制を相談するときの材料にもなります。
4. 感情を出す場所を確保する
言いにくいことを伝える、板挟みを引き受ける、誰かの落胆を受け止める。こうした仕事が続くと、自分の感情の容量が減っていきます。我慢では処理できません。
社内に話せる相手がいるなら、それが最短です。ただ、部下には言えず、上司は評価者という立場だと、出し先が社内にないこともあります。その場合は社外を使うのも一つです。
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マネージャーがきつくて仕事を続けられない場合
マネージャーのきつさには、休めば戻る範囲と、そうでない範囲があります。線引きを自分の感覚でやる必要はありません。公的な目安があります。
ひとつは時間です。時間外・休日労働が1か月あたり80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者は、本人の申出によって医師の面接指導を受けられます。この仕組みは管理監督者も対象です。厚生労働省の働き方改革関連法解説(労働安全衛生法関係)では、事業者は管理監督者を含むすべての労働者の労働時間の状況を、タイムカード等の客観的な方法で把握する義務を負うとされています。
管理職だから勤怠をつけなくてよい、というのは誤りです。会社が把握していないこと自体が、是正の対象になります。
もうひとつは状態です。眠れない日が続く、休日に回復しない、以前は気にならなかったことに強く反応する。こうした変化が2週間以上続いている場合は、気力の問題として扱わず、産業医や社内の相談窓口につなぐのが賢明です。判断は専門家の領域で、ここで自己診断をする必要はありません。
迷ったときは、相談した側に倒しておくほうが選択肢は残ります。相談したからといって、何かが強制的に決まるわけではありません。
あわせて読みたい「管理職はもう無理」と感じたら|3つの段階に分けて、いま何をするかを決める「もう無理」と感じたときの段階の見分け方はこちら。きついマネージャーが、ひとりで抱えないための相談先
相談先は社内と社外の両方を把握しておくと、いざというときに動けます。
社内で確認したいのは、産業医、保健師、衛生管理者、外部EAPの有無です。労働者50人以上の事業場には産業医の選任義務があるため、置かれている可能性は高いでしょう。ストレスチェックの結果通知に窓口の案内が同封されていることも多いので、直近のものを見返してみてください。
上司に伝えることも、制度上は想定された行動です。厚生労働省の労働者の心の健康の保持増進のための指針は、メンタルヘルスケアをセルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアの4つに分けています。管理監督者自身も、その上位の管理監督者によるケアの対象とされており、上に相談することは役割の放棄ではありません。
伝え方のコツは、感覚ではなく事実を出すことです。「きついです」ではなく、「直近3か月の時間外が月70時間前後で、割り込み対応が1日平均8件あります」と数えた数字を出す。事実で出すことで、相手は対策を検討せざるを得なくなります。
マネージャーのきつさが続くときに残る選択肢
手を打っても変わらないなら、個人の努力で動かせる範囲を超えています。残る選択肢は3つです。
一つ目は、役割の一部を外す交渉です。免除の依頼ではなく、配分の見直しとして持ちかけてください。「採用面接を他のメンバーと分担したい」「評価面談の設計を人事と一緒に整えたい」。代わりに引き受けられるものを一つ添えると、話が前に進みやすくなります。
二つ目は、役職から降りることです。降職や専門職コースへの転換を制度として持つ会社は増えています。人事に聞けば有無は分かりますし、降りることが後退とは限りません。
三つ目は、転職です。同じ役職名でも、プレイング比率も決裁権の範囲も人員体制も、会社によってかなり違います。責任に見合う権限が与えられている職場は実在します。いまの職場で権限も体制も変えられないと分かったなら、環境そのものを変えるのが最も確実な方法です。30・40代管理職・専門職のグローバルキャリアを拓く転職エージェント【Samurai Job】
では、30代・40代の管理職層向けの求人を扱っています。決裁権の範囲やマネジメント人数といった条件から探せるので、いまの負荷が自社固有のものかどうかも見えてきます。
まとめ
マネージャーがきついのは、責任は増えたのに、仕事を減らす権限や支援が足りないからです。本人の能力や気合いの問題ではありません。
今週できるのは、
- 割り込みの受け口を1か所にまとめる
- 判断の基準を先に作る
- 引き取った仕事を書き出す
- 感情の出し先を確保する
という4つです。
時間外が月80時間を超えているなら、本人の申出で医師の面接指導を受けられます。管理監督者も対象です。眠れない状態が2週間以上続いているなら、自己判断を避けて窓口につないでください。
今日できることを1つ選ぶなら、自分が1週間で実際に手を動かした作業を書き出すところからで十分です。何を引き取りすぎているかが見えます。

