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「管理職になってから、仕事が楽しいと思えなくなった」
「部下のことも、自分の仕事も、全部うまくやらなければいけない」
「相談できる相手がいなくて、結局一人で抱え込んでしまう」
管理職になってから、日々そんな悩みを抱えていませんか?
管理職になると、仕事の責任だけでなく、求められる役割も大きく変わります。部下の育成、チームの目標達成、上司からのプレッシャー、終わらない自分の業務……。毎日目の前のことに追われ、気づけば自分のことを考える余裕さえなくなっている人も少なくありません。
それでも、管理職という立場上、弱音を吐きづらく、「自分がもっと頑張らなければ」と無理を重ねてしまうこともあるでしょう。しかし、管理職が抱える悩みの多くは、個人の能力や努力だけで解決できるものではありません。
この記事では、管理職によくある10の悩みと、その背景にある原因、具体的な対処法を紹介します。今感じている悩みを整理し、少しでも負担を軽くするためのヒントを見つけてみてください。
管理職の悩みで多いもの
産業能率大学総合研究所の調査(2019年)では、上場企業の課長が挙げた悩みの上位は、次の3つでした。
- 部下がなかなか育たない:37.4%
- 職場の(または自分の)業務量が多すぎる:28.2%
- 部下の人事評価が難しい:24.2%
他の調査でも、管理職が難しいと感じることは「メンバーの仕事への意欲を高めること」といった結果が見られました。
さらに、悩みの中身は、管理職としての経験年数によっても変わります。管理職向け研修の受講者を対象にしたラーニングイノベーション総合研究所の調査(2024年)では、就任1〜3年目の課長クラスの33.6%が「自身の判断力」を悩みに挙げており、ほかの段階の管理職より2倍以上高い割合でした。
管理職になったばかりの時期は自分の判断に自信が持てず、経験を積むと部下との関わり方に悩みが移っていく、というように、管理職の悩みは時期によって変わっていきます。
管理職の悩み10選と解決策
ここからは、管理職が具体的にどんな悩みを抱えているのかを順番に紹介します。自身と同じ悩みを抱えている人がどれくらいいるのか。解決策も一緒に紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
1. 部下が育たない
先述したように、管理職の悩みの種となるのが部下の育成です。
「何度も同じことを教えているのに、なかなか覚えてもらえない」「丁寧に説明したつもりでも、同じミスを繰り返してしまう」といった経験はないでしょうか。
特に忙しいときほど、部下に教えるよりも自分で対応したほうが早いと感じるものです。しかし、部下の仕事を自分で対応してしまう場面が増えると、部下は経験を積む機会を失い、いつまでも仕事を任せられないという悪循環に陥ってしまいます。
また、部下の成長が見えないことで、自分の教え方に問題があるのではないかと悩んだり、育成に時間をかけても成果につながらないことに焦りを感じたりする管理職も少なくないでしょう。
【解決策】
まずは、部下がどこでつまずいているのかを確認しましょう。同じミスを繰り返す場合は、単に注意するのではなく、「なぜそのように判断したのか」を聞くことで、理解不足なのか、判断基準が曖昧なのかを把握できます。
そのうえで、仕事を任せる際には、完成形のイメージや判断基準を具体的に共有することが大切です。また、最初からすべてを任せるのではなく、部下の習熟度に合わせて任せる範囲を広げていきましょう。
上司が正解を教え続けるのではなく、部下が自分で判断し、改善できる状態をつくることが、育成の負担を減らす近道です。
あわせて読みたいマネージャーの1on1は何を話す?テーマ・質問例・失敗しない設計部下の成長を支える1on1の進め方はこちら。2. 自分の仕事が終わらない
「会議と部下の相談対応だけで一日が終わってしまう」「自分の仕事に手をつけられるのは、定時を過ぎてから」。そんな方も多いのではないでしょうか。
管理職になると、定例会議や部下からの相談など、自分のペースでは進められない仕事が一気に増えます。その結果、資料作成やメールの返信が夜や週末にずれ込み、家族と過ごす時間まで削られてしまうこともあるでしょう。
特に、プレイヤーとしての仕事を抱えたまま管理職になったプレイングマネジャーほど、この状態から抜け出しにくくなります。部下には「早く帰ってね」と声をかけながら、自分は誰よりも遅くまで残っているという管理職も少なくありません。
【解決策】
まずは、自分が抱えている仕事をすべて書き出してみましょう。書き出した仕事を「自分にしかできない仕事」と「ほかの人に任せられる仕事」に分けると、手放せる仕事が見えてきます。
任せられる仕事は部下に渡し、続ける意味が薄い仕事はやめてしまうのも一つです。会議についても、自分が出なくてよいものを選び、議事録の共有で済ませられないか確認しましょう。
自身の仕事を部下に任せるのは勇気がいるかもしれません。しかし、思い切って任せてみると部下の育成にもつながりるものです。「まだ任せるのは難しいかも…」と不安に思ったとしても、失敗した時の傷が浅い業務から順に任せていきましょう。
仕事を減らして判断に使う時間を確保できれば、部下の相談にも落ち着いて対応できるようになり、チーム全体の仕事も回りやすくなります。
あわせて読みたい管理職はなぜ大変?原因と対策|量ではなく領域の数で考える管理職の仕事を「まとめる・減らす・渡す」手順はこちら。3. 部下の評価をつけるのが難しい
「頑張っている部下に、低い評価をつけなければならない」「評価面談で、うまく理由を説明できない」と悩んだ経験はないでしょうか。
毎日遅くまで頑張っている姿を見ていても、成果が出ていなければ高い評価はつけられません。面談で結果を伝えると部下が黙り込んでしまい、「何が足りなかったんですか」と聞かれて言葉に詰まってしまうこともあるでしょう。
また、部署ごとに評価の配分が決まっていて、自分の判断だけでは評価を上げられない場合もあります。部下の不満と会社の方針の間に立たされ、評価の時期が来るたびに気が重くなる管理職は少なくありません。
【解決策】
まずは、評価の根拠を日ごろから記録しておきましょう。期初に決めた目標と、期中の具体的な行動を週に1回メモしておけば、面談では記憶に頼らず、事実をもとに説明できます。
低い評価を伝えるときは、評価の理由とあわせて「次の期に何ができれば評価が上がるか」を具体的に示してください。理由と次の目標がそろっていれば、部下も結果を受け止めやすくなります。
また、頑張りそのものは、評価とは別に言葉で伝えることが大切です。「遅くまで資料を準備してくれて助かった」と具体的に伝えれば、評価の結果だけで部下のやる気が下がるのを防げます。
4. 部下のやる気を引き出せない
「指示したことはやってくれるが、それ以上は動いてくれない」「新しい仕事を頼むと、明らかに乗り気でない返事が返ってくる」といった場面に、心当たりはないでしょうか。
会議で意見を求めても発言がなく、部下が何を考えているのか分からないと感じることもあるでしょう。自分が若手だったころは言われなくても仕事を取りにいったのに、ともどかしく思うかもしれません。
とはいえ、強く言えば辞めてしまうのではないかと心配になり、どこまで求めてよいのか分からなくなる管理職も多いものです。とくに最近は、ちょっとした言動がパワハラ問題につながるケースも少なくありません。「こんなこと言ったらパワハラと言われるのでは……」と不安になって部下に言いたいことを言えない方もいるでしょう。
部下のやる気を引き出せないまま、チームの雰囲気が重くなっていくことに悩む人も少なくありません。
【解決策】
まずは、部下一人ひとりに「どんな仕事なら手応えを感じるか」を1on1で聞いてみましょう。成長を実感できる仕事にやりがいを感じる人もいれば、人の役に立てる仕事で力を発揮する人もいるなど、手応えの感じ方は人によって異なります。
希望をすべてかなえられなくても、仕事の割り振りに一つでも反映すると、部下の反応にも変化が出るはずです。
また、頼んだ仕事が終わったときに、どこが助かったのかを一言伝えるのも効果があります。自分の仕事がチームの役に立っていると分かると、次の仕事への取り組み方も変わってくるはずです。
5. 上司と部下の板挟みになる
「上司からは数字を求められ、部下からは『これ以上は無理です』と言われる」といった板挟みの状況に、悩んでいないでしょうか。
上司の方針をそのまま伝えれば部下から不満を向けられ、現場の声を上げれば「調整するのが管理職の仕事だろう」と返されることもあります。どちらの言い分も分かるだけに、どちらにも強く出られないと感じる人も多いでしょう。
会議のたびに両方の顔色をうかがっているうちに、自分の意見がどこにあるのか分からなくなってしまう管理職も少なくありません。
【解決策】
上司に現場の状況を伝えるときは、数字で示すようにしましょう。「人手が足りない」と伝えるより、「この案件を受けると、残業が1人あたり月20時間増える」と伝えたほうが、上司も判断しやすくなります。
反対に、部下に上司の方針を伝えるときは、方針が決まった背景や理由もあわせて説明してください。理由が分かれば、部下も納得して動きやすくなります。
板挟みになるのは、上司と現場の両方の事情を知っている立場だからです。両方に必要な情報を届けることが自分の役割だと考えると、どちらかの味方をしなければと悩む場面は減っていきます。
6. 年上の部下や元同僚への接し方が分からない
「昨日まで同僚だった人に、どう指示を出せばよいか分からない」「自分より経験の長い年上の部下に、意見を言いにくい」と感じたことはないでしょうか。
管理職になると、これまで一緒に働いてきた同僚や、自分より業務に詳しい年上の社員が部下になることがあります。言い方ひとつで「偉くなったな」と思われないか気になり、頼みごとをするたびに言葉を選びすぎてしまう人も多いでしょう。
その結果、言いにくい仕事は自分で引き受け、伝えるべき指摘も飲み込んでしまうことがあります。遠慮が続くうちに、チームの中での自分の立ち位置が分からなくなってしまう管理職も少なくありません。
【解決策】
年上の部下や元同僚には、相手の経験に敬意を示しつつ、役割として依頼を伝えましょう。「〇〇さんの経験を頼りにしています。そのうえで、この案件は今月中に仕上げたいので、ここを担当してもらえますか」のように、期待と依頼をセットにして伝えてください。
また、相手が得意とする分野については、意見を求めたり判断を任せたりするのも一つの方法です。頼りにしていることが伝われば、相手も協力しやすくなります。
管理職と部下の違いは、上下関係より役割の違いです。立場が変わったことを気にしすぎず、チームの目標に向けてそれぞれの役割を果たすという意識で接してみてください。
7. 相談できる相手がいない
「部下の前では弱音を吐けない」「上司に相談すると、評価に響くのではないかと不安になる」と感じていないでしょうか。
管理職になると、部下からは頼られ、上司からは成果を期待される立場になります。同じ立場の管理職に相談しようにも、みんな忙しそうで声をかけにくいこともあるでしょう。家族に話しても職場の事情までは伝わらず、結局「大丈夫」と言って話を終えてしまう人もいます。
プレイヤー時代は同僚と気軽に相談し合えていたのに、管理職になってから本音を話せる相手がいなくなったと、孤独を感じる管理職は少なくありません。
【解決策】
まずは、評価に関わらない相談先を社内外に1つ持っておきましょう。他部署の管理職や、社外の勉強会で知り合った人など、利害関係のない相手であれば、本音を話しやすくなります。
相談といっても、すぐに答えをもらう必要はありません。困っていることを人に話すだけでも頭が整理され、次に何をすればよいかが見えてくるものです。
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のようなオンラインカウンセリングも使えます。無料で相談できる公的な窓口としては、厚生労働省のこころの耳があります。
8. 休めない、休んでも仕事のことを考えてしまう
「休暇を取っても、部下からの連絡が気になってスマホを見てしまう」「自分がいないと仕事が回らない気がして、長い休みを取れない」といった経験はないでしょうか。
管理職は自分が判断する場面が多いため、休んでいる間にトラブルが起きていないか不安になりがちです。家族旅行にノートパソコンを持っていき、旅先でメールを確認している人もいるでしょう。
また、休み明けにたまったメールやチャットを見るのが憂うつで、休んだはずなのに疲れが取れないまま仕事に戻ることもあります。こうした状態が続けば、心も体も休まる時間はなかなか取れません。
【解決策】
休む前に、「この件はこの人に判断を任せる」と決めて、チームに共有しておきましょう。判断を任せる範囲がはっきりしていれば、休暇中の連絡は減ります。
あわせて、「緊急時だけ電話で連絡する」など、連絡のルールも決めておくと安心です。どんなときが緊急なのかを共有しておけば、休暇中に何度もスマホを確認せずに済むでしょう。
管理職が休みを取れば、部下も休みを取りやすくなります。まずは半日や1日の休みから試してみてください。
あわせて読みたい「管理職だから休めない」は本当か?休めない5つの理由と休むための具体策管理職が休めない理由と、休むための具体策はこちら。9. 指導がハラスメントと受け取られないか不安になる
「ミスを指摘したいけれど、パワハラだと受け取られないか心配」「注意したあと、部下の表情が暗いと言い過ぎたかと気になってしまう」と悩んでいないでしょうか。
ハラスメントへの意識が高まるなかで、部下への伝え方に慎重になる管理職は増えています。注意する前に何度も言葉を選び直し、結局何も言えずに終わってしまうこともあるでしょう。
しかし、遠慮して注意すべきことを見過ごすと、部下は何を直せばよいのか分からないままです。同じミスが繰り返され、ほかのメンバーから「なぜ注意しないのか」と不満が出ることもあります。
【解決策】
注意するときは、相手の人柄でなく、行動と事実について話しましょう。「いつも雑だ」と言うより、「この資料の数字が3か所違っていた」と伝え、どう直してほしいかを具体的に示します。
注意は、ほかのメンバーがいない場所で、できるだけその日のうちに伝えてください。時間がたってからまとめて指摘すると、部下は何を直せばよいのかが分かりにくくなります。
業務上必要かつ相当な範囲で行われる指導は、パワハラにはあたりません。伝え方を整えれば、部下との関係を損なわずに指導できます。
10. 自分のキャリアの先が見えない
「部下のキャリアは一緒に考えているのに、自分の将来は思い描けない」「このまま今のポジションで、同じ仕事を続けていくのだろうか」と感じたことはないでしょうか。
管理職になると管理業務に追われ、プレイヤーとして磨いてきた専門性が薄れていくように感じることがあります。さらに上の役職を目指すのか、今の立場で働き続けるのか、答えを出せずにいる人も多いでしょう。
同年代が転職や独立で新しい道を選んだと聞くと、焦りを感じる人もいるはずです。今の職場で働き続けることに迷いながらも、忙しさに追われて考える時間を取れない管理職は少なくありません。
【解決策】
まずは、管理職として積んだ経験を書き出してみましょう。部下の育成や他部署との調整など、管理職の仕事で身につけたことは、社内でも社外でも生かせる経験です。
そのうえで、社内に専門職への転換や異動の制度があるかを確認してください。社外に目を向ける方法もあります。
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管理職の悩みを一人で抱えないために
10の悩みに共通するのは、一人で解決しようとするほど、時間と気力を消耗する点です。
悩みを抱えたときは、次の順で考えてみてください。
- 事実を書き出す:何が起きていて、自分は何に困っているのかを1行で書く。
- 誰に共有するかを決める:上司に判断を仰ぐ問題か、部下に任せる問題か、社外の相手に相談する問題かを分ける。
- 1つだけ試す:解決策を全部同時に試さず、1つ選んで2週間続ける。
上司に共有するときは、「困っています」と相談するより、「この件で、AとBのどちらを優先するか判断をもらいたい」と選択肢を添えて伝えると、話が早く進みます。一人で抱え込んでいた悩みも、判断を分け合えば負担は軽くなります。
悩みが重なって眠れない、食欲が落ちているといった状態が続く場合は、解決策を試すより先に休む時間を確保してください。
まとめ
管理職の悩みで多いのは、部下の育成、業務量の多さ、部下の評価です。この記事で取り上げた10の悩みは、次のとおりです。
- 部下が育たない
- 自分の仕事が終わらない
- 部下の評価をつけるのが難しい
- 部下のやる気を引き出せない
- 上司と部下の板挟みになる
- 年上の部下や元同僚への接し方が分からない
- 相談できる相手がいない
- 休めない、休んでも仕事のことを考えてしまう
- 指導がハラスメントと受け取られないか不安になる
- 自分のキャリアの先が見えない
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